〜こころのそうだんしつ〜 ハル
「あの…相談したいことがあって…」
「なぁに?言ってみてよ。私の出来ることでなら助けになるわよ?」
「実は…」
いつもの寮長室はいつもこのような会話から始まることが多い。
寮長だから寮生の相談を聞くことは仕事の一つなんだけど…
周りの人からはこう言われている。
あーちゃん先輩の相談室≠チてね…
確かにCMで宣伝しているような悩み相談室レベルに比べたらこんな相談なんてちっぽけなような気がしないでもない。
でも電話掛けるのが嫌、もしくはめんどくさい、見知った先輩だから気軽さがいいなどなど…嬉しいの反面、なんで私が…って思ったりしている。
「先輩も大変ですね。断れないんですか?」
呆れた顔で私を見ている子が一人いる。
「まぁ〜いいのよ?これも寮長の仕事だって思ったらやる気が出てくるわよ?かなちゃんもそう思わない?」
「そうですか?相談もいいですけど、ちゃんと自分の仕事をしてくださいよ。いつも私に押しつけられたら堪りませんから」
そこまで嫌な顔をされたらやらない訳にはいかないわね。
「……ねぇ…かなちゃんは相談に来る人達のことをどう思ってる?」
『またまた何を言い出すんだこの先輩は…』って顔をして睨みつけられた。
これはこれで怖いのよね…
「そうですね…私は弱い人だと思いますよ。自分の力では打開できない、それかしようともせずに他人の力を借りて打開しようとする。それもいいかもしれませんが、それは自分で何もしようとしない怠慢か傲慢な人だと思います。そうでなければ、こんなところまで相談に来ませんよ」
相変わらず激辛な意見ね。
こんな直接的な意見を言っちゃったら凹むこと大有りね。
「でもね。相談に来る人たちは何やら悩みを抱えてくるの。それを一つ一つ悩みを解決していって、悩み事がなくなってくれて、笑顔で『ありがとう』って言ってくれるのが嬉しいのよ。嫌々やってたかもしれないけど、やってて良かったなって不思議と思えるのよ。」
「…そうですか」
最後の相談者が来てからかなりの時間が経ったような気がする。
「かなちゃん。もう上がっていいわよ?お疲れ様」
「はい。お疲れ様でした」
本当に素っ気ないわね。
あれはあれでかなちゃんらしいけど…
どんな人でも悩み事の一つや二つはあると思う。
それを我慢するのもいいと思うけど、打ち明けるのも大切だと私は思っている。
我慢しすぎたら体がもたないし、打ち明けたら気分が楽になると思う。
悩まずに打ち明けるこれが一番かな。
「私がそんな偉そうなこと言えないか」
椅子に深く座りこう呟く。
『こころのそうだんしつ』
いつも寮長室でやってます。
悩み事があったらいつでもどうぞ。