Lはリトルバスターズ バスがばくはつ       mas



「理樹」
 ガタンコトンと揺れるバスの中、僕の名前を呼ぶ鈴の声で暗い意識から目を覚ました。
「寝てたのか、理樹。起こさない方が良かったか」
「ううん、大丈夫」
 隣に座っていた鈴の姿をぼんやりとした薄い視界のまま窺うと、僕のことを心配をしている様子に見えた。
「せっかくの修学旅行なんだしよ、理樹もずっと起きてようぜ!」
 目の前の席から真人がひょっこりと顔を出してそんなことを言ってきた。僕はあはは、と苦笑いすることしか出来なかったけど、鈴は「うっさいばか、理樹にそんな無茶なことを言うな」と真人に返してくれていた。それに対して真人は「あぁん? その筋肉はもうすぐ爆発するからさっさとバスから降りて爆発しろとでも言いたげだなぁ!?」と真人お得意の言いがかりを言い放っていた。しかし鈴が「うっさい、静かにしろ」と一蹴され、更に葉留佳さんが「筋肉爆発しろ!」と叫んだことにより「筋肉爆発しろ!」コールが車内全体に巻き起こった。それに対し真人は声にならない悲鳴を上げた後、大人しくなった。真人が大人しくなったことによりやがて「筋肉爆発しろ!」コールはおさまった。



 それからしばらくして、なにもすることがなく外の景色を眺めていた僕にまた目の前の席から真人が顔を出して話しかけてきた。
「なあ理樹、オレたちと理樹が会った時はお前ひとりぼっちだったよな? その前ってどうしてたんだ?」
 そんな真人の突然の質問に驚いたけれど、そういえば話してなかったかなと思い、またどう話そうかを迷った。
「理樹、こいつの言う事は気にしなくていいぞ」
 と、鈴も真人の隣に座っていた謙吾も顔を出して言ってくれたけどしっかりと全部話そうと決めた。
「うん、そうだね……」
 咳払いをひとつしてから続きを口に出す。
「恭介、鈴、真人、謙吾と会う前、鬼ごっことかサッカーとかちゃんとした遊びを出来る友達はいたんだ。でもみんな事故とか大怪我、病気になってしまったりして離れて行ってしまったんだ。そのうちみんなは僕を疫病神と扱って段々と僕は仲間はずれにされて、気がついたらひとりぼっち。友達がいなくなって、そして両親も事故で死んでしまって……やっぱり僕は疫病神なんだ、と考えて少しずつ殻に閉じ篭ろうとしている時――」
「俺たちと出会ったわけか」
「うん……それからしばらくは、また僕のせいでみんなが事故とかに遭ってしまうんじゃないかと心配して戸惑ってたりしたけど、それからそんな事も起こらないで今も過ごせているから、その時の心配は必要なかったんだなと思っているよ」
 僕の話はそこで終わる。そして三人を様子を見てみると…
「そうか………」
「そうだったのか……」
「そうなのか……」
 三人とも違う反応をするかと思っていたのに、同じような反応に困った。でも、僕はとにかく「…えーと、まあみんなは――リトルバスターズは僕の大事な友達だからね」と三人に向けて、そして心の中で今のリトルバスターズのみんなに向けて言った。だけどその時、それまでゆっくりと走っていたバスに物凄い衝撃が起こった。

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