マッスルKYOUSUKE〜壮絶な修行はあえて巻きで〜       ラグナ



「理樹好きだーーーーーっ結婚してくれーーーーーっ!!」
「却下」
「何故だ!?」
「察してよ」
 冷たい目で見られた。そのまま理樹はすたすたと去って行った。
「なんでだ、なんでなんだよ!」
 俺は一人中庭で体育座りをしながら反省会を開いていた。お題は、理樹が何故俺の愛を受け止めてくれないのか、だ。けど一向に思いつかない。俺の何がいけないんだろうか。謙吾とか真人とか鈴にも話したが白い目で見られた。
「恭介さん、それはですね」
 さっきから遠くで読書をしていた西園が声をかけてきた。
「ずばり筋肉だと思います」
 西園の目が『筋』という文字に変わっている。さっき真人が「筋肉いぇいいぇーい!」と言いながら走って行ったのと何か関係があるのだろうか。
「古来より筋肉は正義、と決められているほどに筋肉の影響は素晴らしいものです。筋肉の歴史について話しますと…」
「ありがとう西園、俺は立派な筋肉をつけて理樹告白してみるぜ!」

 数ヶ月後

「理樹、これが俺の本気だ」
「うわぁ…」
 そう言って理樹が後ずさりする。なんでだ。真人にも免許皆伝をもらったお墨付きなのに。いまなら秘孔だって突けるぞ。
「こんなこともできるぞ、ほら高いたかーい」
「え、っちょ、うわぁぁぁぁぁ…」
 あれ、理樹が落ちてこない。そのまま点になって空に消えた。
「お、俺は何てことを!もう死ぬしかない」
「まぁ焦んなって恭介」
 木の陰からぬおっと真人が出てくる。ほふく前進しながら。
「真人…じゃあ逆に問おう、俺はこれからどうやって生きていけばいい」
「そんなもん、筋肉に生きるしかないだろ、ほら、筋肉筋肉ー」
「真人…お前は最高の友達だな!よし、筋肉筋肉ー」
 と言っていると、上から隕石よろしく燃えながら落ちてきた理樹にヘッドバッドを喰らって俺の意識は途切れた。

「棗くーん?起きてるー?」
「ん…今何時間目だ…?」
「もう放課後よ、それよりどうしたのー?なんかうなされてたわよー?」
「楽しい夢だったような…そうじゃなかったような…」
「ふーん」
「ただしこれだけは言える」
「何?」
「筋肉最高!」

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